記憶の引き出しが開くとき
- YUUKO MORIUCHI
- 4月14日
- 読了時間: 2分
更新日:4月27日

ようやく思い出すことができた。
ずっと気になっていたのに、どうしても思い出せなかった、あの曲。2005年のドラマの主題歌だった。あまり好みではないストーリーであったのに、何気に観てしまった記憶がある。
頭の中に、たった一小節だけが断片のように残っていて、何度も何度もそこから思い出そうとしたのだけれど、全体はなかなか浮かんでこなかった。
それが、二年という月日を経て、ある日ふいに、それも本堂掃除をしていた瞬間、自然と私の記憶の引き出しから細く長い紐を手繰り寄せていくかのように姿を現したのだ。
ふと思い出したのは、それだけではない。
思い出せなかった、ある人物の顔も同じだった。
何度思い出そうとしても首から上が浮かばなかったのに、ある瞬間、突然その表情が鮮明に、まるで昨日会ったかのような感覚で、頭の中に現れた。
一瞬でも鮮明に思い出せるのだから、やはり、記憶というのは消えてしまうものではなく、どこかにちゃんと保存されているものなのだろう。
削除されたように感じても、それはきっとただ、アクセスできない場所にしまわれているだけなのだろう。
そう思いつつも、ふと疑念がよぎる。
もしかしたら今思い出したその記憶も、何度も何度も上書きされて、もはや元の形とは違っているのかもしれない。
人の記憶とは曖昧で、そして儚いもの。
だからこそ、すべては虚仮不実。
かりそめで、確かではないものなのだろうね、きっと。
人生はその程度なのだろうか。
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